miwa、4年ぶりの三田祭前夜祭で伝えた学生へのメッセージとは【インタビュー&イベントレポート

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2020年も残り2ヶ月を切った今でも新型コロナウイルスの感染拡大は収まらず、学生生活の目玉でもある学園祭の開催にも影響を及ぼしている。

そんな中、最大規模と言われている慶應義塾大学の学祭、三田祭はオンラインでの開催を決定。そんな三田祭の中でも目玉の一つである「三田祭前夜祭」では、62年の歴史の中で史上最大規模となる4アーティストの出演が決定。そのトップバッターを慶應義塾大学卒業生でもある「miwa」が飾った。

【史上初】第62回三田祭前夜祭はあの4アーティストが出演!

2016年以来4年ぶりの凱旋ライブ

トップバッターを飾ったのは、自身も慶應卒業生のシンガーソングライターのmiwa。

静寂の会場の中、黒い衣装に身を纏ったmiwaがステージに上がる。力強く透き通るような歌声を会場いっぱいに響き渡らせ、ステージの幕を開けた。1曲目の『Faith』は背中を押してくれるような歌詞が散りばめられており、困難の中でも頑張っている人たちへエールを送るかのように力のこもった歌を披露した。

一曲目を終え、「こんにちは、miwaです。今年はリモートでの開催ということで、学生のみなさんやお客様に直接お会いすることができないのは残念ですが、三田祭前夜祭には2016年に一度出演させていただいて、今回2回目ということで、また出演することができてとても光栄に思います、ありがとうございます。」と今回の出演にあたっての思いを述べた。

「そしてこの日吉記念館ですが、生まれ変わりましたね!別の場所かのような変わりっぷりで久しぶりに来てとてもびっくりなのですが、こんなきれいな舞台で今日はすごく楽しみです。短い時間ですがみなさん是非最後までお楽しみください。よろしくお願いします!」

MCのあとには自身が大学生の頃にリリースした曲を披露。『Faith』とは雰囲気を一転させ、しっとりしてやさしさが溢れ、聴きながら思わず過去を振り返りたくなるような楽曲『441』。バラードのような曲調の中、持ち前の美しい高音を響かせた。

3曲目ではタイトルに含まれる「春」にぴったりの明るい曲調に合わせながら紡がれる、大人になることへのちょっとした不安とそれでも前向きになれる歌詞が特徴的だ。ピンクと黄色の花の模様といった可愛らしい照明で会場中を輝かせた。

MCに入ると、三田祭実行委員会が毎年三田祭当日に着用している赤い法被を羽織り、2016年にも着用したことを懐かしんだ。

音楽で背中を押したい

事前にTwitterで募集した学生からの質問に回答。大学在学中にデビューし、苦労を乗り越えてきたmiwaだからこそできるアドバイスが多くあった。

どんなに勉強を頑張っても結果が出ず落ち込んでしまう。そういったときはどうしているかという質問。

「つらい状況だと思うけど、そういうときこそ音楽で背中を押したい」と回答。自身の楽曲にも応援ソングがあるので試験の前に聴いて自分を鼓舞してほしいと語る。それでも立ち直れないときには、一回全部リセットして好きなことをしてストレスを発散するのも良いとアドバイスをし、相談を寄せた学生へエールを送った。

英語が好きという理由で大学に進み、そろそろ夢を持ちたいと思うが将来の夢がまだ明確ではない。大学生の頃にシンガーソングライター以外になりたいものはあったか、という質問。

「シンガーソングライターになることを目標にしていたので、他にやりたいことは無かった」と答えた。それでも大学に行ったのは、多くの可能性を考えてのことだったと振り返る。今はやりたいことが見つからなくても、調べたら色んな職業が出てくるのではないかとアドバイス。可能性を探って自分の中でピンとくるものを選ぶのが良いと回答した。

来年から社会人になるが、自分の力で生きなければならないことに漠然とした不安を抱えている。在学中にデビューし、卒業してから仕事に対する考え方に変化はあったか、という質問。

これには「実は(不安が)あった」と回答。音楽の道を選んだということは周りとは違う道を意味し、「みんなと違う」ことは不安があったが、それと同時に覚悟を持たざるを得なかったと語る。ただ、社会に出ても周りからの支えは必要になり、チームの大切さを感じているという。「周りにも同じような不安を抱えている人がいると思う」と話し、そういった人とたくさん話して前に進んでいってほしいとエールを送った。

学生パフォーマーとのコラボ

学園祭ということで、学生とのコラボを楽しみにしていたというmiwa。

「それでは今回一緒にコラボしてくれる皆さんをお呼びしたいと思います。」

『DAITAN!』では、慶應義塾大学SFC 公認ダンスサークル Dance Unit W+I&Sとのコラボステージを披露し、学園祭ならではのステージを作り上げた。曲中に「女子力」という言葉が出てくることから「チーム女子」としてのコラボを実現。力強い楽曲に照明とダンスを合わせ、学生らしいフレッシュなダンスを披露。息ぴったりのダンスで会場を魅了した。

パフォーマンス終了後コラボの感想を問うと、W+I&Sの中西慧都さん(慶應義塾大学3年生)は、普段からmiwaの楽曲を聴いていて、今日初めて会っていきなりコラボしたのでとても緊張したという。それでも生歌の後ろで踊るという、滅多にない機会を楽しんだと話すリーダーの中西さんを前に「そう言ってもらえて嬉しいです、こちらこそ光栄です」とできないと思っていたコラボが実現した喜びを噛みしめる姿を見せた。

「家で動画を撮って送り合いながら練習し、今日が数か月ぶりの再会だった」とコロナ禍で満足に活動ができない学生のエピソードを聞くと「そんな貴重な機会にDAITAN!を踊っていただけて鳥肌立ちました!」と興奮が隠し切れない様子も見せた。

「今年はコロナの影響で、大学生の皆さんとのコラボは難しいと思っていたが、急遽コラボができることになり、練習もままならない中で唯一の機会を作ってくれて、W+I&Sの皆さんに心から感謝しています」と、感謝の気持ちを告げた。まさに「三田祭」という感じがして楽しかったと話す。

「今年は色んな大会だったりイベントができなくて、最後の大会ができなかったという方も多いのではないかと思います。以前、実際に試合を見に行ってマネージャーさんや監督さん、選手のみなさんに取材をして高校サッカーのテーマソングを作ったことがあります。
今年の大会がなかった、というみなさんにとって今まで仲間と過ごした日々はかけがえのない思い出だと思います。
そんな気持ちになってもらえたらいいと思ってこの曲を選びました。

それでは聴いてください、『ホイッスル~君と過ごした日々~』」

曲紹介を終えると同時に流れ出すイントロ。MCで話した通り、今年は多くの学生が、引退前最後の大会をコロナウイルスの影響で失ってしまった。そういった学生たちに向けて気持ちを歌にのせて歌声を届けた。今まで友達と過ごした日々を振り返るとつらかったこと、楽しかったこと、色んな出来事を歌に合わせて思い出すことができたのではないだろうか。

続いて昨年ヒットしたドラマ『凪のお暇』の主題歌『リブート』を披露。人生を再スタートさせるというドラマに合わせて書いた曲だが、「今日は自分自身と向き合って新たな一歩を、前に進もうとするそんな人の背中を押せるように心を込めて歌いたいと思います。」とMCで話し、観ている人たちに向けて気持ちを込めて熱唱。モノクロの照明がシックに映える中、間奏でギターを一心不乱にかき鳴らす姿は会場の視線を独り占めにした。

そしてアップテンポな曲から一転、しっとりした『ヒカリへ』のイントロへと会場の雰囲気を一瞬で変化させた。一つひとつの歌詞を大切に紡ぐように歌唱する姿が心に残る。大サビではアカペラも披露。透き通るような力強い歌声が会場中に響き渡った。

「三田祭前夜祭に出させていただけて本当に嬉しかったです。
私は今年、デビューしてから10年が経ちました。10周年を迎えてまた、この慶應に戻ってこられてすごく嬉しいです。ここで学びながらデビューした私は右も左もわからず、時には教室にギターを忘れたりしながらなんとか両立をして、そして大学を卒業しても音楽の道を続け、10周年を迎えられたのはいつも応援してくれる皆さん、スタッフのみなさん、そして今日配信を見てくださっているみなさん、いろんな方に支えられて10年間歌い続けることができました。心から感謝しています。」

「今、誰も想像しなかったような世界になってしまってなかなか思い通りにいかない日々だと思います。
思い通りにいかなくて、つらくてということを私も何度も経験しました。
だからこそ、自分らしくいることの大切さを感じています。そのためには自分を信じ、肯定し、胸を張って生きていかなければと思います。

「そんな風に強くなれないよ。だって心がもう折れそうだもん。」

そんな風に思ってしまうこともたくさんあります。だからこそ音楽ってあるんだなって思います。
今日はそんなすべての人に届くようにこの曲を最後に選びました。」

そう語ってラストに披露したのは、今回の三田祭前夜祭のテーマ「音楽だけは、そばにいた。」にもぴったりな一曲『Who I Am』。

「その羽を広げ飛べば良い そのために生まれてきたから」

自分らしくいることが難しいと思ったときに聞くと心が温まるような、人の心に寄り添うように優しく、力のこもった歌声をとどろかせステージは幕を閉じた。

第62回 三田祭前夜祭第一夜 セットリスト

・Faith
・441
・春になったら
・DAITAN!
・ホイッスル~君と過ごした日々~
・リブート
・ヒカリヘ
・Who I Am

ライブ後のmiwaにインタビュー

2回目の三田祭前夜祭ライブを終えた直後にインタビューすることができた。

ーーー新曲のDAITAN!では「W+I&S」さんとコラボしたり、前回の前夜祭でも学生パフォーマーとコラボされたと思うのですが、学生とコラボしたことの感想を教えてください。

せっかくの学園祭なので学生のみなさんの熱気に触れられるようなコラボというのはすごく楽しみにしているものの、今回は難しいのかなと思っていたんですけれども、「コラボを是非できれば」という話をしたら、「W+I&S」のみなさんが急遽やってくださるということになってすごく嬉しかったです。

ーーーこのような苦しい状況の中でも今回の三田祭実行委員会のように何かを成し遂げようと一生懸命な学生のみなさんにメッセージをお願いします。

今年は色んなイベントだったり人が集まることが中止になっている中で、「完全リモートで開催する」と決めて準備して実行したみなさんは本当に素晴らしいなと思っています。前夜祭をリモートライブにするだけではなくて、文化祭全体をリモートにしているというので、きっとそこに至るまでに色んなアイディアや準備ですごく苦労されたと思います。それでも大学にも通えなかったり人と集まることができない中で「完全リモートでやろう」と決めた学生のみなさんのパワーだったり実行力というものにすごく感動しました。

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